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2015-03-30 (Mon)
注)この記事はTRPG「ソードワールド2.0」身内セッションの記録である。
  勝手な主観と記憶で書いていますので、実際と多少は違っていることをご了承ください。


僕の名はツクシ。
泣く子も黙る、タビット族の大魔導士だ。

先日、僕たちは探し屋ランドから魔動機文明の遺跡の情報を買い、探索に赴いた。
そこは魔法陣の敷かれた不思議な部屋がたくさんあったんだけど、僕の活躍によってその謎は解き明かされ情報料以上の収穫を得ることができたんだ。

懐があたたまった僕たちは、カーザの町にある冒険者の店でおなじみの「赤き翼亭」に集まり、のんびりと昼食を楽しんでいた。
良く僕の乗り物になってくれる、シャドウ族のレイヤ。僕を良くいじめてくるけど、いざというときは肉盾になってくれるナイトメア族のアルベルト。美味しい物は正義、僕のご飯仲間であるエルフ族のフローラ。そして、遺跡探検の際に加わってくれたルーンフォークのガンナー、エトランゼ。以上が、今一緒に卓を囲んでいる僕の心強い仲間たちだ。

「ちょっといいかしら。あなたたちに、お願いしたいことがあるの」
僕たちに声をかけたのは、このお店の店主であるエヴァさん。
相変わらず、不思議な魅力のある女性だね。
こう言ってくるということは、もちろん冒険者への仕事の依頼だ。
皆一様にうなずき、エヴァさんに話の続きを促した。

山奥にあるタンヤ村。そこに、エヴァさんが懇意にしている友人が住んでいる。
ちょくちょくお手紙のやりとりをしているんだけど、最近返事が返ってこないんだって。
何かあったのか。心配なので、様子を見てきて欲しいということだ。
友人の名はベルク。ドワーフの男性だそうだ。

もちろん、僕たちは全員一致でその依頼を快諾。
ベルクさんに渡すためのお手紙とお酒を預かって、早速村へ向かって出発した。

タンヤ村までは、街道を三日。更に、山道に入って二日進んだ先にある。
道中は穏やかで、道中は何事もなかった。
村の近くまでは。
五日目。恐らくもうすぐ村だろうってところで、僕たちは蛮族と遭遇した。相手はボガードとゴブリン。僕たちよりはレベルの低い魔物。もちろん、僕の魔法でひとひねりだよね。
だけど、それだけじゃ終わらなかったんだ。
森に響きわたる悲鳴。
慌ててかけつける僕たち。
そこにいたのは、ボガード、ゴブリン、ウルフ。そして対峙するドワーフ族の女。彼女の足元には、ひとりの男が倒れていた。恐らく、蛮族にやられたのだろう。
「助けて下さい」
駆けつけた僕たちに、ドワーフ族の女が声を上げる。
おかげで不意打ちはできなかったけど、困っている人がいたら助けてあげないとね。
もちろん、僕たちにとっては苦労する相手じゃない。
有能な仲間たちがあっさりと蛮族たちを撃破。
フローラが倒れている男を気にかけていたけど、戦闘が終了するころには男は動ける程度になっていた。ドワーフの女は神官職らしく、回復魔法を使ったようだ。
ひととおり落ち着いて、女が僕たちに頭を下げる。
「ありがとうございます。あの、あなた方を見込んでお願いがあるのですが、ここは危ないので私たちの村まで来ていただけないでしょうか」
彼女たちの村というのは、もちろん僕たちの目的地であるタンヤ村のことだ。話の内容にもよるけど、断る理由はないよね。そういう訳で、僕たちは彼女たちと一緒にタンヤ村に向かいつつ、事情を聞くことになったんだ。

ドワーフの女はアニー。倒れていた人間の男はザックという名前で、共に村の若手らしい。
二人の住む村にして、僕たちが向かっているタンヤ村は、小さいながらも平和な村。なんだけど、二週間ほど前から、今みたいな蛮族たちが村を襲撃してくるようになったんだって。何とか追い返しているけれど、人口も少なくて、物資も最低限しかないような小さな村。すでに怪我人もでており、村への侵入を許してしまうのも時間の問題。
ということで、村でも有望な若者であるザックと神官であり、神聖魔法の心得があるアニーが町まで助けを求めるために村を出たということだ。ところがすぐに蛮族に遭遇。運良く僕たちと出会った。という訳だね。
「お願いします。どうか……どうか蛮族を退治して、村の平和を取り戻していただけないでしょうか」
ここで巡り会ったのも何かの縁だろう。僕たちは、もちろん力になることを約束した。
ついでに、ベルクさんのことを知っているか尋ねてみると、何とアニーはベルクさんとは仲の良い間柄とのこと。これは、ますます運命の巡り合わせを感じるね。

村に到着した僕たちは、歓迎されると同時に、すぐに村長の元に通された。
ドワーフ族である村長によると、蛮族に襲われるような心当たりも、奴らがどこからくるのかもわからないみたい。ただ、この村の周辺には廃坑になった銀鉱山が沢山あり、そのどこかを住処にしているのではないかとのことだった。

連戦で疲れていた僕たち。
その日は村に泊めてもらって、翌日周辺を探ってみようって話になった。
話がまとまったところで早速用意された部屋へ行って休みたかったんだけど、依頼の件があったのでアニーの案内でベルクさんの家を訪ねる。
ベルクさんは、強面でぶっきらぼうな典型的な頑固じじいだった。エヴァさんから預かった手紙とお酒を渡すと、「余計なことしやがって」って文句言ってるけど、その表情はまんざらでもないみたい。素直になれない人なのかな。って、ところでなんでお酒と一緒に僕までベルクさんの膝の上に置かれているんだい?

翌朝。

僕は出発前に、襲撃に備えて村の周辺に罠を仕掛けておきたいというレイヤに付き合っていた。
村人たちにも手伝ってもらって、着々と罠を仕掛けていくレイヤ。さすが手先が器用だなぁ。ま、僕の手にかかれば簡単に見破れるレベルなんだけどね。
そうしていると、村の入口の方から空砲が上がった。あっちは廃坑がたくさんあって、蛮族たちもそっちから来ていそうとのことで、レイヤも特に入念に罠を仕掛けたところだ。そして、空砲を上げるような人物は村人にはいない。どう考えても、エトランゼが何かを見つけたとしか思えない。
あわてて駆けつける僕たち。レイヤが先ほど仕掛けた鳴子の罠も派手に動作している。間違いない。蛮族の襲撃だ。
もちろん、襲撃に備えていた僕たちは労することなく蛮族を倒す。
襲撃してきたばかりの今があいつらの住処を見つけるチャンス。
そう思った僕たちは、奴らの足跡をたどり、森の奥へと進んだ。

入口にゴブリンの見張りが立った洞窟を発見するのに、そう時間はかからなかった。

見張りは一体。
エトランゼの射撃で一撃で仕留めることができれば、奇襲が可能かもしれない。だけど、僕たちだって先ほどの戦いである程度消耗している。
今乗り込むべきか。一度村に戻って万全の体制を整えてから乗り込むか。
意見は割れたが、奥の状況がわからない今、無謀に行動することは避けたい。
僕たちは、一旦村に戻ることにした。

来た道を戻り、ついでに発動した鳴子の罠をかけ直す。
うーん、何か、さっきと糸をひっかける場所が違うような気がするけど……まあ、レイヤのことだから何か考えがあるんだろう。

とりあえず、村長さんにアジトらしき場所を見つけたことを報告。一晩休んで万全の体制にして、明日アジトに乗り込むことを伝えた。
ザックを始めとるする村の若者たち、そして、アニーまでもが一緒に行きたいと言い出したけど、一般人の彼らを危険には巻き込めない。アルベルトが彼らを説得し、村のことをお願いし、そして翌日。僕たちはふたたびそこにやってきた。

昨日と同じ場所。同じ奴かはわからないけど、見張りに立つ一体のゴブリン。
僕たちは、気取られぬよう慎重に戦闘準備を行い。そして。
狙いを定めたエトランゼの弾丸がゴブリンを撃ち抜く。

ぎゃあああぁぁぁ

突然の痛みに上がる叫び声。
しまった。内部に僕たちのことが知られてしまった。
だけど、混乱している今がチャンスだよね。
僕たちはゴブリンにとどめを刺すと、すぐさま坑道へ入り込んだ。

何度かの戦闘を経て、たどり着いた少し広くなった空間。
そこに、蛮族たちに護られるように立っていたのは、なんと人間の魔導士だった。
「何故、村を襲った」
アルベルトの問いかけに、魔導士は答えない。戦う気まんまんなんじゃないか。
「お前なんか、ぼこぼこにオーバーキルして答えなかったことを後悔させてやるぞ」
レイヤの言葉が、戦闘開始の合図となった。
ボガード、ゴブリン、ウルフ。こいつらなんか、ここにくるまでに何度も戦ったんだ。恐れるような相手じゃない。
そう、思ったんだけどね。
魔導士が、思いのほか強敵だったんだ。
僕も使えない強烈な電撃の魔法。鎧が堅いだけのアルベルトは、それで何度も死にかけてフローラを焦らせた。
これはいけない。
ここは天才の僕の出番だよね。
MPはだいぶ減ってるけど、前回の冒険で手に入れた魔晶石がある。ここは得意のまとめがけでボガードを倒して、アルベルトが魔導士と戦えるようにしてやろう。

「エネルギー・ボルトぉぉぉ!」

僕の渾身の詠唱と共に、掲げた魔晶石が砕け散る。
最高に気合いをいれた魔法が、ボガード×2を吹き飛ばす!

はずだった。

「あ、あれ」
僕の指先からほっそりと煙が上がる。もちろん、それが敵に向かうこともなく。
し、しまった。力みすぎたか。
頭が混乱して、どうすればいいかわからない。
僕の冒険はここでおしまいなのだろうか。
そう思った僕の暗い思考を、やたらと景気のいい銃声が吹き飛ばした。
はっと顔を向けると、エトランゼの銃が魔導士の身体を吹き飛ばしていた。
派手に血と肉片が飛び散り、魔導士がゆっくりと倒れる。
「うわ、殺すな。情報が聞き出せなくなるっ」
アルベルトが、慌てて叫びながらも目の前のボガードに冷静にとどめを刺した。
どうやら、僕の冒険はここで終わらなかったらしい。
フローラの懸命の処置により、辛うじて一命を取り留めた魔導士をアルベルトが拘束して担ぎ上げ、僕はいつの間にかレイヤに担ぎ上げられて、村に戻った。

事の顛末を村長さんをはじめとした村人たちに報告すると、それはもう大喜び。その晩には、僕たちのために宴会を催してくれたんだ。ベルクさんも気前よく僕たちにお酒をつぎにやってきてくれた。なんだかんだでいい人だなぁ。

捕らえた魔導士なんだけど、村人たちにもその顔に覚えはなく、頑なな魔導士から動機その他の情報を聞き出すことはできなかった。僕たちが町に連れて行って警備隊に突き出すことにして、その日は倉庫に見張り付きで吊しておいたんだ。
だけど翌朝、その姿は消え失せていた。
見張りも、突然眠気が襲ってきたとのことで覚えていない。
自力で脱出したとも思えないんだけど、誰かがきた痕跡もない。
最後に謎が残っちゃった。
村のことは心配だけど、僕たちもここに残るわけにはいかない。状況を冒険者ギルドに報告することを約束して、僕たちは村を後にした。

消え失せた魔導士。発動しなかった僕の魔法。
帰りの乗り合い馬車の上で、僕の気持ちはもやもやし続けていた。

つづく。


余談:蛮族の戦利品が武器ばっかで、完全に刀狩りミッションでしたありがとう。


ツクシ(種族:タビット)
ソーサラー Lv3→4
スカウト Lv1
成長 知力+1
(今回の報酬で「能力増強の腕輪:知力」を購入したため、さらに知力+2)
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