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2015-12-25 (Fri)
注)この記事はTRPG「ソードワールド2.0」身内セッションの記録である。
  勝手な主観と記憶で書いていますので、実際と多少は違っていることをご了承ください。



みんな久しぶり。
泣く子も黙る大魔導士、ツクシだよ。

前回、タンヤ村での事件を解決した僕たち。
カーザの町に戻ってきて、赤き翼亭でのんびりまったりする日々に戻った。

そうそう、前回の冒険で経験を積んだ僕は、ファミリアっていう使い魔のようなものを持つことができるようになったんだ。
僕の家族たちが持っているのを見て、ずっと欲しいと思っていたからね。
さっそく、徹夜して作ったよ。

じゃーん!
カエルのケロちゃん!
かわいいでしょう。
泳げるし、MPも持ってるんだよ。

「レイヤー!見て見て!ケロちゃんだよ。」
「ぴぎゃー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

レイヤが後ずさってる。どうしたんだろう。
ケロちゃんが神々しすぎて驚いたのかな。



すっかりお馴染みになった冒険者の店、赤き翼亭。

僕たちはいつも通りそこに集まって夕食を取っていた。
僕の左隣でしあわせそうにお肉を頬張っているのが、エルフのプリーストであるフローラ。
対称的に、右隣で静かにお茶をすすっているのが、ルーンフォークのマギテックであるエトランゼ。
僕の真正面で黙々とお肉を切り分けては口に放り込んでいるのがナイトメアのファイター、アルベルト。
そして、何故か僕から距離を置いて、エトランゼの影に隠れるようにシャドウのフェンサー、レイヤが座っている。
レイヤはいつも僕の隣にいてくれたはずなんだけど、最近妙によそよそしいんだ。僕、何かレイヤを怒らせるようなことしたかなぁ。



扉が開き、一組の冒険者が入ってきた。

たぶん、知らない顔だ。
だけど、ここはルキスラとフェンディルの間に位置する冒険者の店。通りすがりの冒険者たちが立ち寄るのはめずらしいことではない。
のだけれど。

「アネモネ!?」

冒険者の一人が、僕の方を見るなり大きな声を上げた。優男といった印象で、装備からフェンサーであろうことがわかる。
「そんなはずないだろ」
仲間の男がそうたしなめるものの、彼の表情も動揺をあらわにしている。兄弟なのか、優男と似た顔立ちをしているが、こちらはもう少し野性味溢れたいかにもファイターといった男である。

そして。
二人の男たちの視線は僕......ではなく、僕の隣に座っているエトランゼに向けられていた。
エトランゼは僕の知る限りあまり感情を表に出さない方であるが、男たちのやり取りに関してもやはり表情を変えず視線だけを向けていた。わかりずらいけど、男たちやアネモネという名前に覚えがあるような感じではない。

「こちらの方が、どうかしましたか?」
問いかけたのは、フローラである。
もちろん僕も、アルベルトやレイヤも、彼らの仲間たちも、その答えを静かに待った。
しばしの沈黙の後。
ファイターの男が口を開いた。

「彼女が俺たちの昔の仲間に瓜二つで。いや、そんなはずはないんだが......少し、話をさせてもらってもいいだろうか」



ファイターの男は、名をカインといい、このパーティーのリーダー。
フェンサーの男は、アベルといい、やはりカインとは兄弟なんだそうだ。
二人はずっと一緒に冒険をしていて、現在はエルフのソーサラーであるエリカ。グラスランナーのシーフ、グレイ。人間のプリースト、マリアを加えた五人パーティー。
今までフェンディルを拠点に活動していたが、更なる仕事を求めてルキスラ方面に移動している途中なんだって。

僕たちも自己紹介を終えて、カインが話始める。

それは、今の仲間たちと会う前の話。
カインとアベル。そして当時の仲間たちを加えたパーティーは、フェンディルは花と遺跡の丘の辺りで、一人のルーンフォークと出会った。
記憶がなく、途方にくれていた彼女に、パーティーメンバーであった女性が近くに咲いていた花からアネモネという名をつけて、半ば拾うような形で仲間に加えた。
それから、彼らのパーティーはさまざまなクエストをこなしてきた。
アネモネは無邪気で、良く感動し、良く笑う活発な人物で、パーティーの空気は明るくなった。
だけど。
遺跡の探索をしている途中、悲劇は起こった。
うっかり発動させてしまった罠により、遺跡は崩落。モンスターに追いたてられながら命からがら逃げ出せたカインとアベルを除き、パーティーメンバー全員が帰らぬ人となってしまった。

「だから、ここにアネモネがいるはずはないんだ......悪かったな。こんな話を聞かせてしまって」
「いえ、大事な話です。エトランゼも、過去の記憶がないそうなの」
フローラの言葉に、一同がはっとなる。
みんな同じことに思い至ったみたいだ。

ルーンフォークは、一度死んで蘇生を受けた場合、他の種族のような「穢れ」は発生しない。その代わりに、最新の一年の記憶を失う。それは、この世界の冒険者なら誰でも知っているような常識だ。
そして、アネモネには恐らく一年以上前の記憶はなく。エトランゼには昔の記憶が一切ない。
同一人物の可能性は、ないわけではないのだ。
でも。
アネモネという名のルーンフォークの遺体が、置き去りにされた遺跡から見つけ出され、何者かの蘇生を受けて生き返るなんて、そんな奇跡が起こるものだろうか。

「もしかしたら、そのアネモネって子は同じジェネレータから生まれた姉妹機だったのかもしれないねぇ」

いつの間にか、赤き翼亭の店主であるエヴァさんが僕たちのテーブルの近くに来ていた。
「自分のこと、知りたいのでしょう?エトランゼ」
エヴァさんが、意味ありげな視線をエトランゼに向ける。
「行ってみるんだったら、もう少し詳しく初めてアネモネに会った場所を教えられるぜ」
そう言ってきたのは、アベルだ。
「どっちにしろ、俺たちにとってつながりのある人物であることには変わりない。応援してるぜ、エトランゼ」
調子のよい言葉に、すかさずアルベルトが口を開く。
「それなら、フェンディルの冒険者の店を紹介してもらえないか。あと、向こうで何か変わったことはあるか?」
「それなら、首都のディルクールに月桂樹亭って店があるから行ってみてくれ。俺たちの名前を出せばわかってくれるはずだ。あと、最近変わったことか......そういえば蛮族の襲撃が増えているな」
カインが丁寧に答える。

「そろそろ遠出もしてみたいと思っていたし、行ってみるか。フェンディルに」

こうして僕たちは、翌朝、フェンディルに向けて旅立つことになった。



道中、リザードに襲われて多少苦戦したものの、僕たちは無事フェンディルの首都、ディルクールに到着した。

えっ、なんでリザードごときに苦戦してるのって?
ち、ちょっとダイス目に恵まれなかっただけだよっ。

とにかく、ディルクールに到着した僕たちは、早速カインに紹介された月桂樹亭という名の冒険者の店にやってきた。
店主は、カインたちの名前を出すと快く迎えてくれた。更に、エトランゼを見て驚いていた。店主は、アネモネのことも、一年前の事件のことも知っていた。というより、件の遺跡探索の依頼を出したのがこの店だった。
結局、その依頼は後に他の冒険者によって解決されたが、カインとアベルの仲間たちの消息は依然として不明のままだそうだ。

「ところで、何か仕事はないか」
唐突に。アルベルトが店主に聞く。
「仕事ですか。そうですね、あなた方はまだこの街では新参ですから、まずは試させていただくためにも蛮族退治とかどうでしょうか。最近フェンディルでも蛮族による襲撃が増えているんですよ」
「蛮族か。そういえばカインもそんなことを言っていたな」
こんな調子でアルベルトと店主の会話が進んでいる。

そんな中。

エトランゼは、何を言うでもなく僕たちの後ろに立っていた。
彼女が、あまり自己主張をする方ではないことはみんな知っている。だけど、今回フェンディルまできたきっかけはエトランゼだ。彼女自信が決めなければ、きっと始まらない。
だから、僕にしては珍しくエトランゼに問いかけた。
「エトランゼは、どうしたいの?」

少し、間があった。

躊躇いとか、遠慮といったものではなく、自分の意思を伝えることに慣れていない。そんな間を経て、エトランゼはぽつりと言った。
「アネモネを初めて見たという、その場所に行ってみたい」
「それなら、遺跡と花の丘だね。アルベルトー」
店主と話し込むアルベルトにエトランゼの要望を伝えると、それを聞いていた店主が僕たちの行先方面の仕事を見繕ってくれる。
「遺跡と花の丘の辺りで、先日ボガードによる襲撃があったんだ。見かけたら退治してもらえないか。一体につき五百ガメル出そう」
もちろん、その依頼を引き受けない理由はない。
蛮族や、ルーンフォークの集落についての情報を集め、地図を購入した僕たち。
その日はゆっくり休み。
翌朝、遺跡と花の丘に向けて出発した。



「あそこにいるよ!」

僕の指さしにみんながかけより、そこにいるボガードをなぎ倒していく。
それにしても、こんなに見つけられるなんて僕はやっぱり天才だよね。レイヤも楽しそうにオーバーキルしてるし、本当に良かった。
「あっ、あそこにもボガード......わっ!」
反対側を指差し、駆け出した僕。そこに、石ころが転がっていたんだ。つまずいてバランスを崩した僕は、うかつにも思いっきり地面と口づけしてしまった。
拍子に、ケロちゃんか飛び上がる。
そして、レイヤに張り付いた。

「ぴぎゃー!???」

レイヤが、ありえない雄叫びを上げて、ものすごい勢いでボガードに殴りかかりに行った。
強いなぁ。



遺跡を調べているという一団に遭遇した僕たちは、便乗して近くにキャンプを張り一泊。
翌日。
調べてあった、アネモネが最初に見つけられたらしい場所の一番近くにあるルーンフォークの集落に到着した。
ルーンフォークのことはルーンフォークに聞け。ということで、僕たちはまずこの集落の長を訪ねた。
事情を説明すると、長はエトランゼと良く似たルーンフォークを見たことがあるらしい。でもそれは、エトランゼでもアネモネでもない...?
不思議に思っていると、同じ型。それも、女性型のルーンフォークばかりが暮らす隠れ里が存在するという噂を教えてくれた。
つまり、エトランゼもアネモネもそこの出身という可能性がある。行ってみようという話になったのだけれど、さすがただの噂だけあって長でも大体の場所しかわからないんだって。でも、もしかしたら外部の人間ならわかるかもとアドバイスを受けて、集落に駐留していた行商人に話を聞いたんだ。そうしたら、かなり詳しい位置まで教えてもらえた。

そうして、教えてもらった場所に到着したんだけど、辺りは木と茂みばかりで何にもないんだよね。
さすが隠れ里って言われているだけある。
まぁ、どんなに隠したって僕の直感でちょちょいのちょい。だよね。

って、思ってたんだけど。

入口は、なかなか見つからない。
こんなところに、村なんてないよ。
疲れたなぁ。
座り込んでサボって......いや、休憩してると、レイヤがやってきた。
「何サボってるんだよ、こっちは知力を使う探索が苦手なんだから、ツクシだけが頼りなんだよ!」
すごい剣幕で迫ってくる。うわ、押さないで。うわわ。
バランスを崩した僕は、後ろの茂みの中にころん。と転がった。

え?あれ?

茂みをなぎ倒した先に、道があった。
「あった!あったよ!」
レイヤが大喜びでみんなを呼ぶ。
まさか、こんな所に道が隠されていたなんてね。さすがの僕も苦労したよ。

道を見つけてしまえば早いもので、すぐに目の前に建物が見えてきた。
のだけれど。
隠れ里に足を踏み入れる前に、まず違和感があった。
見えてきた建物が、どれも異常に大きい。僕たちが訪れたルーンフォークの集落はもちろん、カーザの町でもなかなか見ないサイズだ。
更に。
隠れ里に近付くにつれて、違和感は強まる。

「誰も、いないな」

レイヤが言うとおり。そこには人の気配がなかった。
いるはずの、ルーンフォークの姿も、気配すらなく、辺りは静まり返っている。
「何か、思い出すことはありますか?」
フローラの問いに、静かに首を横に降るエトランゼ。
だけど、その面持ちは真剣に辺りを見回している。
とりあえず目の前にそびえ建つ三つの建物を順番に調べるために中へ入ってみることになった。

一つ目の建物は、だだっ広い空間だった。
高い天井。壁際に設えられたロッカー。遠くに設置された的のようなもの。どうやら、訓練施設らしい。
相変わらず、人の気配はない。だけど、埃のつもり具合から、打ち捨てられて何年も経っているという風でもない。せいぜい数ヶ月といったところだろうか。
「あっ、何かあるよ」
何気なく開けたロッカーの中に箱が入っていた。
エトランゼが来て、物を確認する。
「弾薬ね」
彼女にとっては見慣れた、ごく普通の弾薬が一揃え。
「せっかくだし、もらっていったら?」
「そうね。弾薬も結構お金がかかるから、助かるわ。それに、ここにいた住人たちは戻ってきそうもない」
エトランゼは、ロッカーに一礼してから中の弾薬を手に取った。
それ以外に目ぼしいものはなく、次の建物へ移動することに。

次に入った建物も大きい。だけど、中に入ってしまうとそうでもなかった。細かく区切られたブースに、それぞれ寝台が設えてある。居住スペースというよりは、兵舎のような殺風景さだ。
見て回った感じ、ほとんど物が残されていない。ある程度荷造りして出ていったのではないか。そんな風に思えた。

最後に入った建物もまた、大きかった。ホールのようなだだっ広い空間の周囲に、本棚が並んでいる。そして、中央には不自然にぽっかりと穴が空いていた。そう。そこに何かがあったかのように。
「ここは、ジェネレータの置いてあった部屋らしいな」
レイヤが、何気なく床に落ちていた書類を拾い、パラパラとめくってから言った。
「魔導機文明語で書いてあるから僕には読めないけとど、恐らくジェネレータの説明書だと思う」
そう付け加えて、書類をエトランゼに渡す。エトランゼも中を確認して、肯定してみせた。
「ここのジェネレータは、能力の高い特定の素体だけを用いて量産していたみたい」
ぽつりと、付け加える。
だけど、それ以上の情報はなく。
僕たちは釈然としない気持ちでルーンフォークの隠れ里を後にした。



ルーンフォークの集落へ向かう道を歩いていた僕たちは、前方に煙が上がっているのを見つけた。
あれは、集落の方だ!
誰からともなく駆け出す。
早さに自信のない僕は、とっさにレイヤの背中に捕まる。
集落が、蛮族に襲われていた。
駆けつけた僕たちの姿に気付き、数体の蛮族が向かってくる。
そいつらを蹴散らすと、蛮族と戦っていたルーンフォークの男がこちらにやって来て言った。

「ここは大丈夫だ。それより、奥へ......あいつらの目当てはジェネレーターなんだ。そっちを、頼む」

僕たちは集落の奥へ走った。
そこにいたのは、長を始めとした集落のルーンフォーク数名。そして、対峙する蛮族と、目深にフードをかぶった男の後ろ姿。
フードの男が、ちらりとこちらに振り向く。
「潮時か......」
そんなことを呟いた。と、思ったら、男は胸の前で何か印を切るような仕草をする。
次の瞬間。
ふ......っと。
男と蛮族は、かき消えるように姿を消した。



その夜。

再度の襲撃を警戒して、僕たちは集落にとどまっていた。
今日はたくさん魔法を使ったから疲れたし、早く寝ようと思ったんだけど、レイヤが外に出るみたいだから僕もついていくことにした。
外に出たレイヤの視線の先に、ぼんやりと空を見上げるフローラの姿。
そういえば夕食の時も少しぼんやりしていたなぁ。出されたご飯は全部食べてたけど。レイヤなりに心配してたんだね。話しかけるのかな。と思ったんだけど。

じー...っ

暗闇に紛れて、ただただフローラを見つめ続けている。
そうか。これがシャドウ流の励ましなんだね!
僕もレイヤの後ろからフローラの横顔を見つめようっと。あ、フローラがこっちに気がついた。何かすごい泣きそうな顔してるよ。
「どうしたの大丈夫?」
「だ、だだだ大丈夫ですっ!」
「いや、そんな風には見えないよ。夕食の時も上の空だったし。何かあったのかい?」
「いえ、本当に大丈夫です。何でもないです」
レイヤの声にフローラが再度大丈夫と答える。だけど、全然大丈夫そうには見えない。

じー。

フローラの表情を見つめてみる。
僕の視線に気付いたフローラは、明らかに動揺した表情で。
しばらく間をおいて。
やがて、口を開いた。
「ツクシちゃんの目は誤魔化せませんね」

そして、フローラの口から語られる。
あの、ジェネレータの部屋の前で会ったフードの男が、自分の探している兄かもしれない。と。



翌朝。
僕たちはディルクールに戻った。
ボガード退治の報酬をもらうため。
そして、今回の件を報告するため。

月桂樹亭の店主は、僕たちの退治したボガードの数に驚きながらも報酬を支払ってくれた。
そして、報告したジェネレータを狙う人物の話については、ひとつの情報を。
ルキスラ帝国で、ジェネレータの培養液を狙った襲撃が起こったらしい。そしてその現場で、フードの男らしき人物が目撃された。

一通り情報を交換してから、僕たちは月桂樹亭のテーブルについた。
今後の方針を決めなければならない。
「例の遺跡に行ってみたい。アネモネが死んだという、あの遺跡に」
珍しく、エトランゼが自ら口を開いた。
「では、準備が必要ですわね。きちんと消耗品の補充をしないと」
「遺跡について、情報を集める必要があるな」
口々に、そう答える。
エトランゼは驚いたように言った。
「いいの......?私のわがままに近いと思うのだけれど」
「アネモネさんの足跡をたどることが、兄に繋がるような気がしますの」
ひとつ。決意を固めたらしいフローラが微笑む。
「もちろん、僕もついていくよ。楽しそうだからね」
僕が主張し、レイヤが頷く。
「まぁ、仲間だしな」
ぶっきらぼうに、アルベルトが呟く。
エトランゼは、しばらく驚いた表情で固まっていたが、やがて穏やかな表情に変わる。

「その......ありがとう」

その笑顔は、まるで野に咲く一輪の花のような愛らしさであった。



≪つづく≫



成長メモ
ツクシ(種族:タビット)
ソーサラー Lv4→5
スカウト Lv1
成長 生命力 8→9
MP軽減:真語魔法 取得
| TRPG | COM(0) | TB(0) |
2015-09-03 (Thu)
 いつだって、虐げられていた。

 自分を取り巻く影は、目だけがぎらぎらしていて。
 意識は朦朧としていたはずなのに、鮮明に覚えている。
 かけられる、心無い言葉。
 土の味と、微かに混ざる血の味。
 全身に走る痛みより、心の方が痛かった。



「そんな所で、何をされていますの?」

 かけられた声に目を開くと、想定以上に近い位置に女の顔があった。
「え、ええっ。うわっ、いたたたた」
 慌てて飛び退こうとして、もたれていた柱に背中を強打する。そこにはすでに先程殴打されたことによる傷が残っており、痛烈な痛みに息を詰まらせる。
 そう。俺は傷の痛みをなだめるために、ひとり厩の影でじっとしていた。そして、いつの間にかうとうとしていたらしい。
「大丈夫ですか?」
 女が心配そうに、俺の顔をのぞき込んでくる。
 知らない顔ではない。彼女は、俺の雇い主の一人娘だ。
「問題ない。夜風に当っているうちに、眠ってしまっていたみたいだ」
 あまり関わるべきではない。
 そう思った俺は、あまり失礼にならない程度にそっけない態度で立ち上がろうとした。
 女は、そんな俺に対して何を思ったのか、背中を思いっきり叩いてきた。

 痛い!だから、そこには傷が。

 痛みに耐えきれず、そのままうずくまる。目に涙がにじんでいるのがわかる。まったく、格好悪い。
「全然、大丈夫そうには見えませんけれど」
 勝ち誇ったように声を上げて。驚いたことに、女はしゃがみこんで俺の背中に今度は優しく手を当てて、囁くように言葉を続けた。
「ごめんなさい。お父様に、やられたのでしょう?」
 知っているのか。
 しかし、俺にはそれを肯定することができなかった。それは、言ってはいけないことだ。
 黙り込む俺を見て、女の目がみるみる吊り上っていくのがわかった。
「どうして何もおっしゃらないの?辛いのでしょう?痛いのでしょう?声を発しなければ、何も変わらないでしょう」
 その言葉に、さすがに俺も黙っていられない。
「世間知らずのお嬢様が、わかったような口をきくな。みんなに可愛がられて、何にも不自由していない奴に、俺の気持ちなんかわからない」
「私が、何も知らないお嬢様ですって。貴方こそ、私のこと何もわかっておりませんわ」
 女は、一度間を空けて、続ける。
「お父様が私の見えていない所で何をしているのか。それくらい知っています。そして、私はその行いを許せません。お父様のことも、この家のことも、嫌いです」
 その瞳には、決意に満ちた光が宿っていた。
 それは、俺にとって知らなくもない瞳。
 あの日、あの時。この世界から抜け出そうと思った自分は、同じ瞳をしていたと思う。
 だからこそ、俺は気付いた。
 彼女が、しっかりと旅支度を整えていたことに。
「お前、まさか家出」
 俺は、頭を抱えたくなった。
 何てタイミングではち合わせてしまったんだ。
「戻るつもりはありません。ですから、私はもうお嬢様でも何でもない」
「まいったな。俺はお前を止めなければならない立場だと思うんだが」
 どうにも、このお嬢様にはかなわない気がする。
「そう。貴方が私を止めるつもりでしたら、私にも考えがありますわ」
 女は、ふふっと悪戯っぽい笑みを浮かべて、懐から短剣を取り出す。そうして、何気ない仕草でその短剣を俺に渡してきた。
「ん?」
 不審に思ったその瞬間、女はすぐに俺の手から短剣を奪い取り。
「おいっ」
 止める間もなかった。
 月明かりに照らされて。束になった金糸がきらきらと舞い落ちていく。
 そして、すっかり髪の短くなった女が、再び鞘に戻した短剣を俺に手渡してくる。
 呆然とする俺に、女は言った。
「これは貴方に差し上げますわ。この先の旅では必要になることもあるでしょう」
「まさか、俺に付き人になれと……?」
「貴方に、拒否する権利なんてありましたかしら。どちらにしろ、私はこれをここに置いていくつもりですが」
 にっこりと笑う女。
 このままでは、俺が雇い主の愛娘に危害を加えたことになってしまう。ここに居続けることができなくなってしまった以上、このお嬢様について行くしかないということだ。

 まったく、かなわない。

「わかった。お前について行くよ」
 俺は、両手を上げて降参の意を示した。
「わかっていただければよろしいです。行きましょう。ジェイ」
 女が自分の名を知っていたことに驚き、差し伸べられた手を取ろうとして、自分がこの女の名を知らないことに気付く。
「よろしく。えっと……」
「自分の使え先の娘の名も知りませんの?先が思いやられますわね」
 あきれたように言いながら、女は俺の手を取った。
「ステラですわ。よろしく」



 いつだって、虐げられてきた。
 何もかも、諦めていた。
 身体に残された傷も。心に残された傷も。きっと癒えることはない。
 だけど。
 確かに、希望はある。

 右手のぬくもりに、いつしか俺は、未来という名の希望に思いを馳せていた。


☆ ☆ ☆


と、いうわけで。

真ウィザードリィTRPGをやってきました。
ここのところヒーラーが多かったので今回は戦士。
しかし、キャラメイクの段階からドラマが。

まず、編成を考えてみんなの盾になれるアビリティがあった方が良いだろうと、
打たれ強くなるようなものを選択。
 →きっと過去に虐待を受けてて打たれ強くなったという設定が生える

ダイスで出自を決めたところ、農民出身。
出自による所持金決めのダイスもふるわず貧民に。
当然装備もそろわずメンバーから貢いでもらうしまつ。
さらに食事を買うお金すらなく、その辺の草を食べて生きるしかなくなる。
 →草食系戦士の完成

そしていざ始まってみたらみんな出目が悪くて、
攻撃が当たらず攻撃を受けず。
ファンブルして武器を壊してしまって、ポイント消費でなかったことにしたものの、
次のターンでまたファンブルしたのは私ですごめんなさい。
さすがにGMが温情でなかったことにしてくれたよありがたい。
ウィザートリィって、容赦なく殺しにかかってくるイメージがあったけど、
GMが手加減してくれたおかげか楽しめました。
システムもD100パーセンテージ仕様だったので判定わかりやすかった。
みなさま、ありがとうございました。



今回のパーティメンバー

ジェイ(人間/男/戦士)
草食系戦士
虐待に遭っていた過去を持つ

ステラ(エルフ/女/司教)
家出少女
お金持ちの商家の娘

イリア(ノーム/女/僧侶)
人の好い商家の娘
きっとステラにつき合わされて旅に出た

アッシュ(ノーム/男/盗賊)
正義の盗賊
イリアとはきっと同郷で幼馴染



冒頭の小話は、私のキャラ。ジェイの旅立つきっかけの妄想話でした。
なお、これを書くのに時間がかかったので実際のセッションは二週間ほど前だったはず。
| TRPG | COM(2) | TB(0) |
2015-03-30 (Mon)
注)この記事はTRPG「ソードワールド2.0」身内セッションの記録である。
  勝手な主観と記憶で書いていますので、実際と多少は違っていることをご了承ください。


僕の名はツクシ。
泣く子も黙る、タビット族の大魔導士だ。

先日、僕たちは探し屋ランドから魔動機文明の遺跡の情報を買い、探索に赴いた。
そこは魔法陣の敷かれた不思議な部屋がたくさんあったんだけど、僕の活躍によってその謎は解き明かされ情報料以上の収穫を得ることができたんだ。

懐があたたまった僕たちは、カーザの町にある冒険者の店でおなじみの「赤き翼亭」に集まり、のんびりと昼食を楽しんでいた。
良く僕の乗り物になってくれる、シャドウ族のレイヤ。僕を良くいじめてくるけど、いざというときは肉盾になってくれるナイトメア族のアルベルト。美味しい物は正義、僕のご飯仲間であるエルフ族のフローラ。そして、遺跡探検の際に加わってくれたルーンフォークのガンナー、エトランゼ。以上が、今一緒に卓を囲んでいる僕の心強い仲間たちだ。

「ちょっといいかしら。あなたたちに、お願いしたいことがあるの」
僕たちに声をかけたのは、このお店の店主であるエヴァさん。
相変わらず、不思議な魅力のある女性だね。
こう言ってくるということは、もちろん冒険者への仕事の依頼だ。
皆一様にうなずき、エヴァさんに話の続きを促した。

山奥にあるタンヤ村。そこに、エヴァさんが懇意にしている友人が住んでいる。
ちょくちょくお手紙のやりとりをしているんだけど、最近返事が返ってこないんだって。
何かあったのか。心配なので、様子を見てきて欲しいということだ。
友人の名はベルク。ドワーフの男性だそうだ。

もちろん、僕たちは全員一致でその依頼を快諾。
ベルクさんに渡すためのお手紙とお酒を預かって、早速村へ向かって出発した。

タンヤ村までは、街道を三日。更に、山道に入って二日進んだ先にある。
道中は穏やかで、道中は何事もなかった。
村の近くまでは。
五日目。恐らくもうすぐ村だろうってところで、僕たちは蛮族と遭遇した。相手はボガードとゴブリン。僕たちよりはレベルの低い魔物。もちろん、僕の魔法でひとひねりだよね。
だけど、それだけじゃ終わらなかったんだ。
森に響きわたる悲鳴。
慌ててかけつける僕たち。
そこにいたのは、ボガード、ゴブリン、ウルフ。そして対峙するドワーフ族の女。彼女の足元には、ひとりの男が倒れていた。恐らく、蛮族にやられたのだろう。
「助けて下さい」
駆けつけた僕たちに、ドワーフ族の女が声を上げる。
おかげで不意打ちはできなかったけど、困っている人がいたら助けてあげないとね。
もちろん、僕たちにとっては苦労する相手じゃない。
有能な仲間たちがあっさりと蛮族たちを撃破。
フローラが倒れている男を気にかけていたけど、戦闘が終了するころには男は動ける程度になっていた。ドワーフの女は神官職らしく、回復魔法を使ったようだ。
ひととおり落ち着いて、女が僕たちに頭を下げる。
「ありがとうございます。あの、あなた方を見込んでお願いがあるのですが、ここは危ないので私たちの村まで来ていただけないでしょうか」
彼女たちの村というのは、もちろん僕たちの目的地であるタンヤ村のことだ。話の内容にもよるけど、断る理由はないよね。そういう訳で、僕たちは彼女たちと一緒にタンヤ村に向かいつつ、事情を聞くことになったんだ。

ドワーフの女はアニー。倒れていた人間の男はザックという名前で、共に村の若手らしい。
二人の住む村にして、僕たちが向かっているタンヤ村は、小さいながらも平和な村。なんだけど、二週間ほど前から、今みたいな蛮族たちが村を襲撃してくるようになったんだって。何とか追い返しているけれど、人口も少なくて、物資も最低限しかないような小さな村。すでに怪我人もでており、村への侵入を許してしまうのも時間の問題。
ということで、村でも有望な若者であるザックと神官であり、神聖魔法の心得があるアニーが町まで助けを求めるために村を出たということだ。ところがすぐに蛮族に遭遇。運良く僕たちと出会った。という訳だね。
「お願いします。どうか……どうか蛮族を退治して、村の平和を取り戻していただけないでしょうか」
ここで巡り会ったのも何かの縁だろう。僕たちは、もちろん力になることを約束した。
ついでに、ベルクさんのことを知っているか尋ねてみると、何とアニーはベルクさんとは仲の良い間柄とのこと。これは、ますます運命の巡り合わせを感じるね。

村に到着した僕たちは、歓迎されると同時に、すぐに村長の元に通された。
ドワーフ族である村長によると、蛮族に襲われるような心当たりも、奴らがどこからくるのかもわからないみたい。ただ、この村の周辺には廃坑になった銀鉱山が沢山あり、そのどこかを住処にしているのではないかとのことだった。

連戦で疲れていた僕たち。
その日は村に泊めてもらって、翌日周辺を探ってみようって話になった。
話がまとまったところで早速用意された部屋へ行って休みたかったんだけど、依頼の件があったのでアニーの案内でベルクさんの家を訪ねる。
ベルクさんは、強面でぶっきらぼうな典型的な頑固じじいだった。エヴァさんから預かった手紙とお酒を渡すと、「余計なことしやがって」って文句言ってるけど、その表情はまんざらでもないみたい。素直になれない人なのかな。って、ところでなんでお酒と一緒に僕までベルクさんの膝の上に置かれているんだい?

翌朝。

僕は出発前に、襲撃に備えて村の周辺に罠を仕掛けておきたいというレイヤに付き合っていた。
村人たちにも手伝ってもらって、着々と罠を仕掛けていくレイヤ。さすが手先が器用だなぁ。ま、僕の手にかかれば簡単に見破れるレベルなんだけどね。
そうしていると、村の入口の方から空砲が上がった。あっちは廃坑がたくさんあって、蛮族たちもそっちから来ていそうとのことで、レイヤも特に入念に罠を仕掛けたところだ。そして、空砲を上げるような人物は村人にはいない。どう考えても、エトランゼが何かを見つけたとしか思えない。
あわてて駆けつける僕たち。レイヤが先ほど仕掛けた鳴子の罠も派手に動作している。間違いない。蛮族の襲撃だ。
もちろん、襲撃に備えていた僕たちは労することなく蛮族を倒す。
襲撃してきたばかりの今があいつらの住処を見つけるチャンス。
そう思った僕たちは、奴らの足跡をたどり、森の奥へと進んだ。

入口にゴブリンの見張りが立った洞窟を発見するのに、そう時間はかからなかった。

見張りは一体。
エトランゼの射撃で一撃で仕留めることができれば、奇襲が可能かもしれない。だけど、僕たちだって先ほどの戦いである程度消耗している。
今乗り込むべきか。一度村に戻って万全の体制を整えてから乗り込むか。
意見は割れたが、奥の状況がわからない今、無謀に行動することは避けたい。
僕たちは、一旦村に戻ることにした。

来た道を戻り、ついでに発動した鳴子の罠をかけ直す。
うーん、何か、さっきと糸をひっかける場所が違うような気がするけど……まあ、レイヤのことだから何か考えがあるんだろう。

とりあえず、村長さんにアジトらしき場所を見つけたことを報告。一晩休んで万全の体制にして、明日アジトに乗り込むことを伝えた。
ザックを始めとるする村の若者たち、そして、アニーまでもが一緒に行きたいと言い出したけど、一般人の彼らを危険には巻き込めない。アルベルトが彼らを説得し、村のことをお願いし、そして翌日。僕たちはふたたびそこにやってきた。

昨日と同じ場所。同じ奴かはわからないけど、見張りに立つ一体のゴブリン。
僕たちは、気取られぬよう慎重に戦闘準備を行い。そして。
狙いを定めたエトランゼの弾丸がゴブリンを撃ち抜く。

ぎゃあああぁぁぁ

突然の痛みに上がる叫び声。
しまった。内部に僕たちのことが知られてしまった。
だけど、混乱している今がチャンスだよね。
僕たちはゴブリンにとどめを刺すと、すぐさま坑道へ入り込んだ。

何度かの戦闘を経て、たどり着いた少し広くなった空間。
そこに、蛮族たちに護られるように立っていたのは、なんと人間の魔導士だった。
「何故、村を襲った」
アルベルトの問いかけに、魔導士は答えない。戦う気まんまんなんじゃないか。
「お前なんか、ぼこぼこにオーバーキルして答えなかったことを後悔させてやるぞ」
レイヤの言葉が、戦闘開始の合図となった。
ボガード、ゴブリン、ウルフ。こいつらなんか、ここにくるまでに何度も戦ったんだ。恐れるような相手じゃない。
そう、思ったんだけどね。
魔導士が、思いのほか強敵だったんだ。
僕も使えない強烈な電撃の魔法。鎧が堅いだけのアルベルトは、それで何度も死にかけてフローラを焦らせた。
これはいけない。
ここは天才の僕の出番だよね。
MPはだいぶ減ってるけど、前回の冒険で手に入れた魔晶石がある。ここは得意のまとめがけでボガードを倒して、アルベルトが魔導士と戦えるようにしてやろう。

「エネルギー・ボルトぉぉぉ!」

僕の渾身の詠唱と共に、掲げた魔晶石が砕け散る。
最高に気合いをいれた魔法が、ボガード×2を吹き飛ばす!

はずだった。

「あ、あれ」
僕の指先からほっそりと煙が上がる。もちろん、それが敵に向かうこともなく。
し、しまった。力みすぎたか。
頭が混乱して、どうすればいいかわからない。
僕の冒険はここでおしまいなのだろうか。
そう思った僕の暗い思考を、やたらと景気のいい銃声が吹き飛ばした。
はっと顔を向けると、エトランゼの銃が魔導士の身体を吹き飛ばしていた。
派手に血と肉片が飛び散り、魔導士がゆっくりと倒れる。
「うわ、殺すな。情報が聞き出せなくなるっ」
アルベルトが、慌てて叫びながらも目の前のボガードに冷静にとどめを刺した。
どうやら、僕の冒険はここで終わらなかったらしい。
フローラの懸命の処置により、辛うじて一命を取り留めた魔導士をアルベルトが拘束して担ぎ上げ、僕はいつの間にかレイヤに担ぎ上げられて、村に戻った。

事の顛末を村長さんをはじめとした村人たちに報告すると、それはもう大喜び。その晩には、僕たちのために宴会を催してくれたんだ。ベルクさんも気前よく僕たちにお酒をつぎにやってきてくれた。なんだかんだでいい人だなぁ。

捕らえた魔導士なんだけど、村人たちにもその顔に覚えはなく、頑なな魔導士から動機その他の情報を聞き出すことはできなかった。僕たちが町に連れて行って警備隊に突き出すことにして、その日は倉庫に見張り付きで吊しておいたんだ。
だけど翌朝、その姿は消え失せていた。
見張りも、突然眠気が襲ってきたとのことで覚えていない。
自力で脱出したとも思えないんだけど、誰かがきた痕跡もない。
最後に謎が残っちゃった。
村のことは心配だけど、僕たちもここに残るわけにはいかない。状況を冒険者ギルドに報告することを約束して、僕たちは村を後にした。

消え失せた魔導士。発動しなかった僕の魔法。
帰りの乗り合い馬車の上で、僕の気持ちはもやもやし続けていた。

つづく。


余談:蛮族の戦利品が武器ばっかで、完全に刀狩りミッションでしたありがとう。


ツクシ(種族:タビット)
ソーサラー Lv3→4
スカウト Lv1
成長 知力+1
(今回の報酬で「能力増強の腕輪:知力」を購入したため、さらに知力+2)
| TRPG | COM(0) | TB(0) |
2015-03-12 (Thu)
注)これはTRPG「ソードワールド2.0」の身内セッションの記録である。
  個人的な主観であるため、都合の良い解釈や間違いが混在しています。ご了承下さい。



僕の名前はツクシ。
神になるために集落から出てきた、タビット族きってのソーサラーだ。
先日、華麗に依頼をこなした僕は、その件で知り合った仲間達と共にカーザの町に滞在し続けていた。
僕位になると一人でも全然平気なんだけど、この人達は役に立ちそうだからね。一緒にいて損はないと思うんだ。

ある日、冒険者の店で食事をしてのんびりしていた僕達の前に、そいつは現れた。
未踏破の遺跡なんかを探してきて冒険者に売ることを生業とした探し屋。
グラスランナー族の、ランドという奴だ。
そいつは、僕達をじろじろと眺め回した後に、こう言ったんだ。
「君達に、ぴったりな情報があるよ」

それは、魔動機文明の遺跡の話。
一度は踏破された魔導士の邸宅らしいんだけど、このランドが手付かずの場所を発見したんだって。
何だか胡散臭い奴だけど、仕事ぶりには定評があるとのことで、僕達はその情報を買った。
そして、もう一人仲間がいた方がいいとのアルベルトの提案で、この冒険者の店の店主であるエヴァさんにいい人はいないか聞くことにしたんだ。

「良く聞いてくれたね。いい人がいるよ」
待っていたかのような返答。そうして、彼女の名を呼ぶ。
「エトランゼ。話は聞いていただろう。どうだい?」
呼びかけに、カウンターの端の席に着いていた女が振り向いた。
黒髪、切れ長の瞳。ほんわかしたフローラと対照的な、凛とした美人である。
そして、傍らには大きな銃。
ルーンフォーク。それも、マギテックの使い手だ。
確かに、魔動機文明の遺跡に行くにはうってつけの人選だ。流石の僕も、魔動機文字は読めないからね。

こうして、新しい仲間を加えた僕達は翌日、ランドの案内で遺跡に向かった。

そこは、半分土に埋まった状態の遺跡。
だけど、僕達の目的はその見えている部分じゃなくて。
ランドの指し示す先、山になっている部分に僅かに亀裂が見える。
そう。僕達がこれから探索するのは、この亀裂の向こう側なんだ。

ランドと別れ、僕のライトの灯りを頼りに亀裂の中へ入る。
そこは暗い廊下が続く道。間違いなく、邸宅の地下である。
僕達は慎重に廊下を進み、扉を見つけては部屋を調べて回った。
それにしてもレイヤは真剣に扉を調べるなぁ。罠なんかないのに。

魔動機文明の魔道士邸宅

<倉庫>
樽とかがいっぱい置いてある倉庫。
宝箱がふたつと、中心に石膏像があった。
でも、僕にはわかる。あの箱はモンスターだ!
宝箱はチェストトラップビーストだった。
石膏像には、綺麗な赤い石が付いていて、売ると高そう。

<私室>
ベッドに机。本棚やクローゼットがある部屋。
机の上に置かれた風化した書類が哀愁を誘うね。
本棚から売れそうな本を二冊。
クローゼットから北向きの針っていう、方位がわかるアイテムを手に入れたよ。
あと、魔晶石がふたつ出てきたけど、これはこっそり懐に入れておこう。

<東西南北の部屋>
扉に魔動機文字で東西南北ってそれぞれ書いてある四つの部屋。
中には中央に魔法陣。奥にオークっていう木製の魔法人形がいるよ。

<広間>
鍵がかかっていた部屋。
ま、僕の魔法にかかれば鍵なんてないようなもんだよね。
かなり広い部屋で、中央に小さな台座。それを取り囲むように魔法陣が四つあったよ。

ざっと見て回った結果、こんな感じ。
うん。これは上の部屋の魔法陣をどうにかすると、下の部屋で何かが起こる仕組みだと思うんだ。
とりあえず、東西南北の部屋の一つに入ったら、オークが襲ってきた。
レイヤの一撃で倒せるレベルだから、まあ、雑魚だね。僕がわざわざ魔力を使うまでもない。
そうしてオークを倒したけど、オークの死体は地面に吸い込まれて消えただけで何も起こらない。
ふと、フローラが魔法陣の上に乗った。
そうしたら何と、魔法陣は淡く発光したんだ。
慌てて下に降りてみたら、広間の魔法陣のひとつも発光している。
だけど、フローラが魔法陣から降りたら光は消えた。
レイヤが乗ってみる。光らない。
アルベルトが乗ってみる。光らない。
僕とエトランゼは、反応した。魔力に反応する仕掛けなのかな。
だけど、部屋は四つだから僕とフローラとエトランゼだけだと、全ての魔法陣を光らせることはできない。
一度、部屋を出る。扉を閉める。
再度扉を開けると、部屋の奥には再びオークが出現していたんだ。
つまり、こいつを利用して何とかするんだな。
オークを魔法陣の上まで誘導すると、案の定光り出す魔法陣。
そこですかさずオークを倒すと、オークは地面に吸い込まれる。
そして。
魔法陣は光をたたえたままだった。
よし。成功。後はこの調子で残りの三部屋も攻略していけばいい。
オークは弱いし、たまにはアルベルトにも活躍の場を与えないとね。
って、ずいぶん苦戦してるなぁ。あっ、攻撃を食らった。

そうこうして。
全ての部屋の魔法陣を輝かせた僕たちが階下へ降りると。

広間は灯りに照らされて。
中央の台座に、腕輪がひとつ。
レイヤが、腕輪を手に取る。
綺麗な腕輪だ。見た目だけじゃなくて、魔力もあるんじゃないかな。

だけど、僕の長い耳は危険を感知したね。
とっさに振り向くと、広間の入口から人のような影がふたつ。
レブナントとスケルトンだ。
まあ、大した相手じゃなかったよ。
スケルトンはフローラの威光の前にしっぽ巻いて逃げ出したし、新入りのエトランゼを始め、みんな強いからね。
もっとも。一番活躍したのは僕に決まっているけどね。

こうして、僕達の探索は終わったんだ。
戦果はそこそこ。いいお小遣いになったよ。
腕輪は予想通り魔法のアイテムで、しかも英知の腕輪+1だった。
僕も欲しかったけど、ここはエトランゼに譲ったよ。神になるべき男は、器の大きいところを見せる必要もあるのさ。

さて、次はどんな冒険が待っているかな。


つづく


ツクシ(種族:タビット)
ソーサラー Lv3
スカウト Lv1
成長 知力+1
特技
 ・魔法拡大/数
 ・魔法誘導
今回は、レベルアップはなしです。
| TRPG | COM(0) | TB(0) |
2015-02-22 (Sun)
注)これはTRPG「ソードワールド2.0」の身内セッションの記録である。
  個人的な主観であるため、都合の良い解釈や間違いが混在しています。ご了承下さい。
  というか勘違い間違いに気付いたメンバーはこっそり教えてください。



僕の名はツクシ。
タビット一族きっての大ソーサラーだ。
僕の実力を理解してくれない周囲の反対を押し切って神になるために集落を出てきた。

さて、始めて訪れる賑やかな町。
ただようたべものの美味しそうなにおい。
こっちは夜通し歩いて空腹だ。
まずは、どこかで腹ごしらえとするか。

で、どうして僕は檻に入れられているんだい?
おっちゃんは、こっちをじろじろと見てるし、何をするつもりなんだ。
おっと、誰か来たぞ。
「おい、何をしているんだ?」
「こいつは勝手に店の食べ物を盗み食いしたんだ」
ちょっとつまんだだけじゃないか。ケチだなぁ。
「お前も貧乏なのか?…って、それ、財布じゃないか。見せて見ろ(何だ、俺より金もってんじゃんかよ)。あー、店主。金なら(こいつが)払う。こいつを解放してやってくれ」

何か、よくわからんが檻から出してもらえたぞ。
「俺はレイヤ。一緒にくるか?(せっかく助けたのに、放っておくとなにするかわからんなこいつ。ついでに金ヅルもげっとだぜ)」
「僕はツクシだ。神になるために旅をしている」
こつについていけば、旅が楽になりそうだ。
「向こうに赤き翼亭という冒険者のお店があるらしい。仕事も探したいし、そこで食事にしようか(お前のお金でな)」

こうして僕は、シャドウ族のレイヤと出会い、一緒にご飯を食べることになったんだ。
そしてそこで、そのお店の女の子たちからある頼みを持ちかけられた。近くの街までお菓子に使うための花を取りに行って欲しいんだって。この僕には簡単すぎる依頼だけど、大きな街には興味あるし、お菓子と聞いては黙っていられないよね。
だけどその子たち、僕だけでは不安だったんだね。念には念をって、店にいる冒険者の中から僕の家来に相応しい人物を仲間として紹介してくれたんだ。それがナイトメアの戦士アルベルトと、エルフの神官フローラ。アルベルトはちょっと怖いけど仕事ができそうだし、フローラは美味しそうにご飯を食べるところが好感をもてる。二人ともせいぜい僕の役に立つといいよ。

翌日。僕たちは大八車に乗ってフェンディルという目的の街へ向かった。気が付いたら大八車から落とされてレイヤの背中にいたけどね。まだまだ精進が足りないなぁ。
道中、山賊に襲われたりもしたけど、もちろん僕の魔法でばったばったさ。この僕の活躍ぶりに、レイヤも恨みがましい目で見つめていたよね。全く、天才はつらいよ。

無事フェンディルに到着したんだけど、何と目的の花は豪商のおっちゃんが買い占めていたんだ。
聞くところによると、娘の誕生日プレゼントに手配していたアクセサリーが届かなくて苦し紛れに屋敷中を薔薇で埋め尽くすという壮大なプロジェクトを行うらしい。誕生日パーティーが終わったら花は譲ってくれるって言うけど、それじゃあこっちが間に合わないし、そんな花食べられないよ!
僕のせいじゃない。諦めるしかない。そう思ってたら、アルベルトが口を開いたんだ。
「そのアクセサリーを見つけてくればいいんですね」
それこそ雲を掴むような話だと思ったけど、どうやらアルベルトには思い当たる節があるらしい。僕たちはアルベルトに言われるがまま、情報をあつめ、急ぎ足で街道をとって返したんだ。

かくして、そこにそいつはいた。
山賊に襲われて、逃げたもの崖を落ち、動けなくなりながらも必死に運搬中のアクセサリーを守っていたんだ。
僕たちは彼を街まで連れて行った。
豪商はいたく喜び、約束通り花を譲ってくれた。そればかりか、帰りの馬車も用意してくれたんだ。

そんなわけで僕たちの始めての仕事は大成功に終わった。
町はお祭り。みんな浮かれてる。
そういえばこの花の入ったお菓子。好きな人にあげるといいんだって。フローラがひとつ僕にくれたんだ。ふふ、あの子も僕にメロメロだね。でも、僕もひとつ買ったのがあるんだ。せっかくだから、レイヤにあげようかな。あと、ついでに何かアクセサリーもあげよう。豪商さんも娘さんにプレゼントしていたし、レイヤも赤い翼亭の女の子たちにあげていた。きっと喜ばれるものなんだ。

レイヤ。喜んでくれるといいな。


つづく


以下メモ

ツクシ(種族:タビット)
ソーサラー Lv2→3
スカウト Lv1
成長 知力+1
特技
 ・魔法拡大/数
 ・魔法誘導(←今回取得、レイヤにエネルギーボルトを誤射したため反省し覚えた)

レイヤ(シャドウ族、フェンサー)
助けてもらったため懐いている。
困ったことがあれば付いて行けばいい。マネすればいいと思っている。

アルベルト(ナイトメア族、ファイター)
一行の中でも年長者、頭がいい、たぶん唯一の常識人のためリーダー格。鉄壁の防御。
しかしその攻撃はなかなか当たらないため、ツクシは下に見ている。

フローラ(エルフ族、プリースト)
典型的なエルフ美人。おっとりしているがごはんが生き甲斐。
ツクシ的には一緒に美味しくご飯が食べれて嬉しい。
| TRPG | COM(0) | TB(0) |